ドラゴンからのアドバイス
■販売代理は売主と同じ立場で契約できる
■売主から代理手数料の上限を受け取ると買主からは受け取れない
売主に代わって直接買主と契約する
「代理」とは、所有者から委託を受けた宅建業者が所有者に代わって売買・賃貸する取引のことです。
依頼者が宅建業者へ売買・賃貸の依頼をすること自体は仲介と同じです。しかし代理の場合は委任者から委託を受けた代理権限の範囲内で宅建業者が一任で契約締結することができます。売主と同じ立場として契約できます。
一方で、仲介の場合は宅建業者の一任で契約を進めることができません。買主と売主の間を取り持って契約の間に入っているのにすぎません。
例えば、仲介の場合は買主が購入申し込みの意思表示をしたとしても、物件の所有者がその買い主に売却したくないと意思表示すると契約できません。
不動産売買における「販売代理」と「仲介」の違い
✅ 1. 立場の違い(当事者になるか、ならないか)
● 販売代理(=代理)
宅建業者が 売主の“代理人”として契約当事者になる。
→ 売主と同じ立場で契約を締結できる。
● 仲介(媒介)
宅建業者は 契約当事者にならない。
→ 買主と売主の間を取り持ち、契約成立をサポートするだけ。
✅ 2. 契約締結権限の有無
● 販売代理
売主から与えられた「代理権」の範囲内で、
→ 宅建業者が 単独で契約を締結できる。
● 仲介
宅建業者には契約締結権限がない。
→ 売主本人の 意思決定が絶対に必要。
✅ 3. 契約成立の可否(典型例)
● 仲介の場合
買主が申込をしても…
→ 売主が拒否すれば契約は成立しない。
● 販売代理の場合
代理人(宅建業者)が代理権の範囲で契約を締結すれば
→ 売主の意思と同じ効力を持ち、契約が成立する。
✅ 4. 報酬の違い(手数料の考え方)
● 仲介手数料
売主・買主双方から法定手数料を受領可能(上限あり)。
● 代理の場合
ケースにより
- 売主から「代理報酬」
- または「販売代行費」
などを受け取る。
※ 買主側から手数料を受け取る場合は「利益相反」に注意。
✅ 5. 利益相反の扱い
● 仲介
売主・買主双方の利益調整が前提。
● 販売代理
売主の代理人であるため
→ 買主から報酬をもらうと利益相反となり得る。
まとめ 販売代理と仲介の違い
| まとめ(最も重要な違い) | ||
| 販売代理 | 仲介(媒介) | |
| 宅建業者の立場 | 売主の代理人 | 中立的な仲介者 |
| 契約当事者 | なる | ならない |
| 契約締結権限 | あり(代理権内) | なし |
| 契約の可否 | 代理人が締結可 | 売主本人の意思で決まる |
| 報酬 | 主に売主から | 売主・買主から手数料 |
販売代理手数料の上限
販売代理手数料にも仲介手数料と同様に宅建業法による上限が定められています。
ただし仲介手数料は売主・買主の双方から受け取れる金額の上限が決まっていたのに対して、販売代理手数料は売主と買主の合計金額で上限が決まっています。上限金額は仲介手数料のちょうど2倍です。
たとえば売主から販売代理手数料の上限金額を受け取ったとしたら、買主からは代理手数料を受け取れないことになります。
| 販売代理手数料の上限 | |
| 成約価格 | 販売代理手数料 |
| 200万円以下の部分 | 10% |
| 200万円を超え400万円以下の部分 | 8% |
| 400万円を超えた部分 | 6% |
計算してみよう!
成約価格が400万円を超える場合の上限
売主の手数料 + 買主手数料 ≦ (成約価格×6%+12万円)+ 消費税率
★12万円の詳細:200万円×(10%-6%)+200万円×(8%-6%)=12万円
例題:
成約価格2,000万円
売主の手数料55万円
(2,000万円×6%+12万円)×1.10=145万2,000円(合計金額の上限)
145万2,000円-55万0,000円=90万2,000円
このページのポイント
①『代理』は、宅建業者が所有者に代わって売買・賃貸する取引態様
②代理の場合、代理権限の範囲内であれば一任で契約できる
③販売代理手数料の上限は売主と買主の合計金額で決まる

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